石油系溶剤で溶かし出す抽出法、圧抽法で搾られているオイル
油を搾って25年経ちます。
高さ50センチほどの油圧式搾油機械にエゴマを入れた袋を入れて、
上下から分厚い鉄板でゆっくり押しつぶすと、じわーっと油だけが分離して出てきます。
この搾りかたを圧搾法といいます。
日本では江戸時代から工夫された搾油法です。
油分が沢山あるエゴマや胡麻、椿やヒマワリ、菜種といった種はこの搾り方で油をとってきました。す。現在は電動ですし、600キロの重さで押しますので、昔よりはたくさんの油が搾れています。
一方、大豆やコーンや綿実は、油分が15%と少ないので、砕いてギュッと搾るだけでは、
その半分も出てきません。
そこでさらに油をとりきるために戦争中に日本で開発された製油法が、
石油系溶剤ノルマルヘキサンで油分を抽出する製油法です。
ヘキサンで原料を溶かすと、ヘキサンと油分だけが分離でき、その後ヘキサンを揮発させ、油分を残す方法です。大量に、安く、圧搾では絞り切れない分まで取り出すことができる方法です。
このヘキサンは、現在では排水溝にたまった汚泥から油分を取り出す方法などにも使われています。※ノルマルヘキサンの有害性情報
※危険有害性情報 | 引火性の高い液体および蒸気 | ||
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皮膚刺激 | |||
強い眼刺激 | |||
生殖能または胎児への悪影響のおそれの疑い | |||
呼吸器への刺激のおそれ | |||
眠気やめまいのおそれ | |||
長期にわたる、または、反復ばく露により神経系の障害 | |||
飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれ | |||
水生生物に毒性 |
元々は、工業用のオイルにする油を製油していた技術ですが、驚くことに、
現在でも、同じ方法で製油されているのです。
確かにその後は溶剤を抜く工程や精製の工程があるのでしょうが、
大量に安く作ることができる植物油を戦後食べることになった私たちの食習慣は、
いったい何をもたらしたのでしょうか?
このような有害劇薬物に溶かされて作られる油を食べていると想像すると、
いくら精製されてきれいになっているとはいえ、食べ物とは程遠く感じます。
残念なことに、テレビの料理番組でも、どの家にも、サラダオイルが置いていない家はないくらいですが、もし、危険溶剤に、大豆やコーンが入れられているところを見たのなら、
多くの人は口にしなくなるのではないでしょうか。
食べ物であり、大切な栄養にもなってくれるのが脂肪です。
私たちは、食べている油の原料や作り方に、もっと目を向ける必要があるのではないでしょうか?
知ったうえで、自分で選んでいくことが大切だと思います。
工業用に製油していた大豆油を、食用に販売先を変えた歴史について
戦後に植物油がおおいに食べられていった驚きの歴史について、2017年に出版された「植物油脂の政治経済学」平賀緑さん著で、知りました。
私たちが何を食べていくのかが、経済や政治を作っていく事にもなることを知らされました。
この本に書かれていることを、少し書かせてください。
ヘキサン抽出法の技術は何のために発明されたのか
研究報告によると、日清戦争で満州を支配した日本政府と財閥は、満州で作る大豆から
この搾油法で、大量に安く大豆油を作ることができたそうです。
戦争中の国に飛行機の潤滑油や、爆弾、プラスティックの原料になる油を売ることができ、
なんと世界の植物油の40%も供給していたそうです。
日本の製油技術が日本の経済を豊かにしていったのです。
著書にはこうあります。
時代は昭和初期、日本では、絹糸や絹製品が輸出用として国上げて作られていました。
どこの農村でも、まゆを飼う桑の木が植えられました。この桑の葉の生産を向上させるために、
大豆肥料をまくことが始まったようです。
肥料ですから、大豆の油分は土には不要であり、むしろ有害です。(服部解釈)
ですから、大豆粕製造工場でなるべく多く油を抜いて「大豆粕」を取り出し販売したそうです。
その大豆粕を作るときの副産物が、油だったのです。
さらに、その油は、工業用の油として利用価値が高く、日本はその油を戦争国に売り世界の40%を供給していたそうです。
当初の目的が肥料を作る為に油を抜くことだったので、ノルマルヘキサンを使ってより多くの油を取り出すことに成功したことは大偉業だったに違いありません。
その油は、軍需産業に販売出来た。
大豆粕製造会社は財をどんどん大きくしていったそうです。
ではどうして食用になったのでしょうか
戦争が終わり日本は敗戦しました。
満州は中国に返還され、大豆は手にはいらなくなりました。
大豆油の売り先だったヨーロッパの戦争もなくなりました。
石油が燃料として使われるようになり、植物油の工業用の重要は終わりました。
そんな中、敗戦国としてアメリカの大豆を買うことになった日本は、
それまで築き上げた製油技術と工場の生き残りを、
輸入された大豆をその製油技術で「食べる油で消費する道」に返還したのでした。
アメリカの占領地日本には、大量生産輸入依存方型食改変計画が、進められたことが
数々の学者によってわかってきました。
そんな中、日本敗戦で市場を失った製油会社は、アメリカの大豆を受け入れ、
同じ製油法で作った油を、炒める揚げる油食料理を大いに宣伝し、
パン食、肉食、牛乳と一緒に、揚げ物食を推進していきました。
食用にする油として、当時は精製すれば問題ないと考えたのでしょうか?
当時の推進者として、油脂栄養普及会が国の支援の下できたようです。
その会長は元厚生大臣、豊年製油の杉山社長、日清製粉の 砂糖産業の明治製菓が役員になっています。
大量生産の食べ物のラッシュが始まりました。
その代表が、これらの油だったのです。
その後は、この植物油たちが、インスタントラーメン、冷凍食品、カレールー、お菓子、様々な便利な加工品を販売していきます。
添加物たちもどんどん増えていくのもこの路線です。
石油系溶剤(ノルマルヘキサン)を使って油を取り出す製油法で作られている油。
大量生産された化学工業農法で大量生産された原料から、溶剤抽出で製油されている油、このような不自然な油を私たちは、歴史史上ないほど多く食べてきています。
脂肪は細胞膜を作る大切な栄養です。工業的に製油された自然から離れた食べ物は、私たちの身体に大きな負担をかけていることは言うまでもありません。
化学薬品で抽出している油は、食べない買わない作らない社会を望みたいものです。
搾油法を知って、安全な搾り方の油を買いましょう
油の製油法は商品を見てもわかりません。
見分け方をお伝えしましょう
①原料の生産者がわかる油は、小規模の搾油法ですので、まず圧搾絞りとみてよいと思います。HP等でわかると思います。
油といっても野菜と同じ植物からできています。
生産者の顔の見える食べ物を購入させていただく姿勢を油にも広げてください。
②大豆、綿実、コーン、サラダ油、色が薄い大手会社のこれらの油は、溶剤抽出法です。
③大手の安価なオリーブ油の場合は、圧抽出法で搾られている可能性が高いです。 一番搾りは圧搾濾過法で搾油されますが、まだ残っている油は、工業的な抽出法で取り出していると聞いたことがあります。
オリーブ油も、生産者が見える油を購入させてもらい、食べさせていただきましょう。
④米油の場合原料は米ぬかです。
米ぬかの油は10%くらいしか含まれていないので、大手の米ぬか油は表示がない場合には薬剤抽出法を疑った方がいいでしょう。
また、糠には農薬が残留しています。
油には農薬は残留しないかもしれませんが、できるだけ環境や農家の健康を守る農業で生産されている生産者さんのものを購入していきましょう。
生産者の顔の見える米ぬかから溶剤を使わない搾油法がわかる米ぬか油を食べさせていただきましょう。